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本物に出合う、栃木市の美術館 [管理人より]

栃木市美術館のコンセプト:
「とちぎの歴史・文化・芸術を、みんなで楽しみ、広め創る拠点」とある。

とてもよいコンセプトですね。
美術館には来館者が本物の絵画や彫刻に出合い、触れる意義を大切にしてほしい。

喜多川歌麿の「深川の雪」「品川の月」「吉原の花」の高精細複製が展示されている。
いわゆるフェイクである。
歌麿が栃木に来るに至った当時の政情・時代背景、製作に没頭し名作を残すことができた栃木の土壌、国宝級の多くの浮世絵が海外へ流失しまった事由、等、
複製はこれらを丁寧に説明し、皆が理解するための文献、図画資料として位置づけられるもの。
喜多川歌麿は栃木とともに。本物の三部作はないが、歴史的、文化的な深い関わりが後々まで語り継がれていくはず。

2014年11月8日付、朝日新聞のコラムに当時資生堂名誉会長の職にある福原義春さんが「本物にこめられた魂」と題した記事を寄せておられた。
概略:
「現代の印刷技術は精緻で、モニターの解像度も完璧に近い。人間の目が認識する光学信号では、本物も複製もほとんど違いはないだろう。
しかし、脳と心への影響について、本物に体面した人間がその迫力に押される感覚(アウラ)とは、本物だけがもつ力と、それを感受できる人間の中間に漂うものであろう。
魂のこもった本物の作品だから大勢の人がわざわざ展覧会へ見に行くのであり、(それは展示品であるばかりか、)国家や民族の歴史を背負ったかけがいのない存在でもある。
本物からにじみ出る感覚とは、目に見えない魂のことである」
以上

管理人
2022.11.9



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